2014年08月01日

イソギンポ Parablennius yatabei

Parablennius yatabei

20年前、父と私のお気に入りの釣り場は、大阪湾に面した忠岡という町の小さなヨットハーバーだった。河口に突き出した短い堤防は先端でも水深3メートル足らず。混み合うこともあまりない穴場的な場所で、大物はタチウオが回ってくるぐらいだったけど、大阪湾にしては豊富な種類の小魚がよく釣れた。

ここでイソギンポによく遊んでもらった。直下にポチャンと仕掛けを沈めると、竿の先がクンクンと引っ張られる。軽く合わせてリールを巻くと、ブルブルと威勢のいい抵抗も虚しくスポンと上がってくるのがイソギンポだった。鱗の無い体表がぬるりと光って、両生類みたいだ。

大きさは10センチないぐらい。食べると意外においしいらしいけど、見た目がこんなだし小さいから普通は食べようとは思わない。多くの釣り人にとっては紛れもない雑魚なのだけれど、食べるよりも見たり飼ったりすることが目的の私には歓迎すべき相手だった。小さくとも釣り上げるときの手応えはやっぱり心地好いし、丈夫だから水槽で長生きしてくれた。そして見た目がいい。ぷっと弾けたようにいつも半開きな口、きょろきょろと表情豊かな目、腹びれでぐいと踏ん張ったやけに鳩胸な姿勢。この仲間はダイバーの方たちにも人気のようで可愛らしい写真をよく見かけるし、別属ながら見た目の似ているヤエヤマギンポはショップで目にする機会が多い。

この週末、和歌山で少し釣りをしようと思うのだけれど、かれらのような愛らしい雑魚に出会えるだろうか。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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