2014年08月22日

ミナミヌマエビ Neocaridina denticulata denticulata

Neocaridina denticulata denticulata

私が生まれ育ったのは大阪市の端っこの方で、小学校高学年頃まではまだそこここに田んぼがあった。といってもコンクリートとアスファルトに囲まれた田んぼだから生き物はヤゴとボウフラぐらいしかおらず、今森光彦の写真集に出てくるような里山の美しく豊かな水田は憧れだった。

このお盆、妻の祖母が住む岡山の矢掛に帰省して畑の脇を歩いていると、雨で少し水かさを増した側溝に動くものが見えた。目を凝らしてみると小さなエビだった。ミナミヌマエビらしかった。翌日、改めて手網を持って辺りを散策した。側溝の水溜まりをひとすくいすると、色とりどりのミナミヌマエビとミズムシたちがごっそりと網に入った。エビは丸々と太って、抱卵したものがたくさんいた。

畑や田んぼのすぐ脇にエビが棲んでいる、ということが驚きだった。甲殻類は農薬や化学肥料に弱くて、それらが溶け込む水ではなかなか生きていけないからだ。5月、埼玉の北寄りで覗いた水田はミジンコいっぴきいない完全な静寂の世界だったし、農薬漬けになっていることが多いと言われる東南アジアのとある水草を自宅水槽に不用意に導入したせいで、数日のうちにエビをほぼ全滅させてしまったこともある。底にうずくまるエビの頬には、エラにダメージを負ったせいか穴が開いていた。

矢掛でも、化学肥料の袋が無造作に置かれた隣の水路にはエビがいなかった。農薬や化学肥料を無責任に悪く言うことなどできないけれど、動くものがたくさんいる水の眺めは心地が好い。身近に少しずつそんな場所が増えればいいなと思う。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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