2014年10月03日

マサバ Scomber japonicus

Scomber japonicus

20年前、父と私に釣りを教えてくれた村田さんから譲ってもらった(お借りしたままなのかもしれない、と少し心配でもある)『防波堤釣り』(土橋鑛造著、日本文芸社、1992年)のイラストが、魚の絵を描きはじめる最初のきっかけだったと思う。著者の土橋さんはカンザス大学美術学部のご出身とのことで、挿絵がとてもいい。防波堤に立つ足下の海の中がどんな様子で、どんな魚たちがどんなふうに過ごしているのか、デフォルメされた美しく可愛らしいバランスの絵で分かりやすく見せてくれている。釣りをしながら海の中の様子に想像が及ぶようになったのはこの本のおかげだし、たいていその想像の通りに魚は釣れたり釣れなかったりするのだった。

土橋さんの絵を真似て、小学校の休み時間、ノートの端っこに小さなサバの絵を描くようになった。なぜサバなのかというと、かれらがイラストにしやすいシンプルで可愛らしい顔をしているからだ。イワシやアジなんかと比べると、簡単な線だけでとてもサバらしい顔が描けるのが心地好かった。そして目が可愛い。手塚治虫の『どろろ』に、妖怪に取り憑かれたせいで死んだ魚のような目になっている「鯖目」という名前の武士が登場するのだけれど、大好きな『どろろ』もここだけは違うんじゃないかと異議を唱えたい。サバは死んでもあんな死んだ魚のような目にはならないのだ。

そういうわけで、ひとつ「これ!」という魚を挙げるならサバということになる。名刺を新調することにしたのだけれど、そのために何か描くとなって迷わずサバを選んだ。少しシャープめの体型で可愛らしいタレ目をした今回のサバ、20年前にノートに描いていたののような若干のデフォルメ感も含んでいて、自分らしく描けたと自画自賛している。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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