2014年10月10日

オニオコゼ Inimicus japonicus

Inimicus japonicus

オコゼ、とりわけオニオコゼは不器量の代名詞のように言われることがあるけど、そんなことはまるでない。これぞ底棲性の魚食魚、という顎のガッシリした厳つい面構えに、岩や藻の質感を模した装飾を絶妙なバランスで纏っているこの造形を不器量と言ってしまっては、デザインした神様も人間の見る目の無さに呆れ顔するに違いない。

オコゼといえばもうひとつ、毒を持った背びれの棘。「虎魚」という漢字は、刺されるとただでは済まないこの魚のアブナさを上手く表現している。
一般的に知られたオコゼには3種あって、危険度のランクが違う。一番軽いの、将棋で言えば「歩」なのがハオコゼで、これは10センチにも満たない可愛い小魚だ。それでも刺されたらうずくまるぐらい痛い。親指を刺された時は2日ほど腫れが引かなかった。そのワンランク上、「金銀」的なのがこのオニオコゼ。大きさは20センチ以上で、背中の毒針が不規則にあちこち向いているあたりにハオコゼにはない「デビル感」がある。さらに上のオニダルマオコゼは「飛車角の成ったやつ」級で、見た目は直径40センチの丸い岩を思い浮かべればほぼその通り。これは過去に死亡事故も起きている。

ハオコゼは防波堤釣りや磯遊びで出くわすことが多いので、その手の本や看板に「危険な魚」としてよく登場する。また飛車角のオニダルマオコゼは、岩と間違って踏んづけないようにと海水浴客やダイバー向けに注意喚起されているし、見た目の特異さから水族館人気も高い。
さてオニオコゼはと言うと、拍子抜けすることにこの魚に関しては危険さや見た目よりも「白身の美味しさ」でお馴染みだ。実際、ふぐ料理屋でご馳走になったオニオコゼの唐揚げは、弾力に満ちた肉質でふぐに劣らぬ味だった。そんなわけでオコゼ三兄弟の中でもこのオニオコゼは、一人だけ品のいい魚界のエリート的な雰囲気を匂わせている。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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