2014年10月17日

サンマ Cololabis saira

Cololabis saira
店頭に並ぶサンマの腹には、よく下の個体のような円形のキズがある。サンマヒジキムシやサンマウオジラミといった寄生虫の喰い痕らしい。人体にはまったく影響ないとのこと。

生さんまほど、ひとつの季節の始まりを実感させる食材は他にない。夏の終わり、金色の「新物」シールを貼られたさんまがスーパーの鮮魚コーナーに並ぶと必ず「うわあ、もうさんまの季節か!」と思うし、毎年同じこと言ってるなと知りつつもそれをそのまま口に出して言わずにいられない。

正真正銘の初物は北海道で、七月上旬には水揚げされるらしい。これは一尾が1,000円にもなるそうで、さすがに手が出ない(そもそも、見たことがない)。スーパーで毎年の台詞を吐くのはそれが400円ほどに下がった時点でのことだけれど、それでもまだ心の中では「店頭での観賞用」であって、食卓への選択肢が現実味を帯び始めるのは150円を切ってからだ。

一人暮らしの学生の頃は、食のバランスなど一切無視して時期になるとさんまばかり食べていた。調理法もいくつか試したけれど、見た目も匂いも音も、もちろん味も、さんまを目いっぱい楽しむならやっぱり塩焼き。背側の身の、中央より少し肩寄りに最初の箸を入れると、火の通った皮がかすかな抵抗とともにパツ、と弾けて、脂が滲んでみるみる溢れる。さあ食べるぞと、そのシーンを漫画にすればかなり猟奇的な顔つきになるだろうほどの気の昂りだ。

「秋刀魚」の字のとおり、スラリと伸びた体躯はよく研ぎ上げられた刀身のように美しい。刀にたとえられる魚と言えば本家はタチウオ(太刀魚)だけれど、刀としての切れ味で言えば、ギラリとした箔のきらめきを放つ太刀魚よりも、佇まいに静けさを含んだ秋刀魚の方が上なんじゃないかという気がする。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(2) | 魚の譜
この記事へのコメント
太刀魚は洋刀、秋刀魚は日本刀って感じです。しかし秋刀魚は美味しい!
Posted by aloha at 2014年10月22日 16:16
美味しい季節ですよね。今年はあと何回食べるかな。
Posted by uonofu at 2014年11月01日 00:46
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