2014年10月24日

イセゴイ Megalops cyprinoides

Megalops cyprinoides

2013年の元日、岡山県玉野市の渋川マリン水族館でイセゴイを見た。青い壁を背景に、中空にじっと佇んでいた。ギラリと照り返す整然と並んだ鱗、メカニカルな構造の口、そして表情を読み取りにくい目が印象的だった。全体的に機械のようで、コミュニケーションを受け付けない生き物に思えた。太古の海の熾烈な生存競争を生き延びるために、かれらは感情を捨てて常に機械的に反応することを選んだのではないか、というようなことをうっすら考えた。

生い立ちもかれらの持つ異質な雰囲気を助長する。ウナギが「レプトケファルス」という、寒天でできたリボンにちりめんじゃこの顔がくっついたような奇妙な姿の幼生期を経て成長していくことは比較的よく知られたことだけれど、ウナギと似ても似つかない正統派の魚の形をしたこのイセゴイにもレプトケファルス期がある。レプトケファルス幼生は見た目が独特なだけでなく、生態にもまだ謎が多いらしい。一番ワクワクさせられたのは、小学生の頃に図解まんがで読んだ2メートル近い巨大なレプトケファルス幼生の話で、ウナギのサイズで換算すればその巨大な幼生の親魚は数十メートルにもなるらしい。残念ながらこの幼生の正体は既に明らかになっている(実はその図解まんがの出版よりもずっと昔に)けれど、イセゴイが謎多き幼少期を過ごしていることには変わりがない。

そんなイセゴイもゲームフィッシングの対象魚としてはポピュラーな存在だ。確かに、いかにも瞬発的なパワーとスピードを兼ね備えていそうな美しい体型をしている。ちなみにイセゴイは大きくてもせいぜい1メートルほどのサイズだけれど、近縁種のターポンは最大2メートル半にもなるそうで、海外の釣り師たちのブログを見ているとその大きさに度肝を抜かれる。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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