2014年10月31日
キンギョハナダイ Pseudanthias squamipinnis
「水族館の定番展示」で打線を組むならば、色とりどりの熱帯性海水魚が泳ぐ珊瑚礁水槽は、上位打順でセンターラインの守備に置きたい花形選手だ。ひときわ明るい照明の下で青やピンクや黄の小魚が小競り合いしたり、岩組みの間をすり抜けたり、砂を口に含んでモグモグしたりする姿は、人だかりさえなければ張り付きで眺めつづけたい。
キンギョハナダイはそんな花形水槽の中でもひときわよく目立つ。 物陰に隠れたりすることなく、遊泳スペースにやんわりとした群れを作ってのびのびと泳いでいる。オスは体が大きくて、ピンク色が濃く鮮やか。ひれの先が長く伸びるのも見映えがする。他の大柄な個体が近づくとハッとひれを広げて追い払う、その流れるような一連の動きが惚れ惚れするほど美しい。
この魚の魅力でもう一点見逃せないのはその顔つきだ。可憐な小魚かと思いきや、代表的な海の肉食魚の仲間であるハタ科に属するかれらは、その厳つい風貌をやはり受け継いでいる。洋ナシ型に尖った黒目と、開くと意外なほど大きく裂ける口。伊豆のほうではキンギョハナダイが釣り針にかかることがあるようだけど、釣り上げられてえらを膨らませている顔つきのふてぶてしさは、紛れもなく肉食魚のそれだ。
posted by uonofu at 18:00| Comment(0)
| 魚の譜
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