2014年11月14日

“メッキ” Young trevallies

Young trevallies
“メッキ”と呼ばれるギンガメアジ属の幼魚たち
(上)ギンガメアジ Caranx sexfasciatus
(中)ロウニンアジ Caranx ignobilis
(下)カスミアジ Caranx melampygus


編集者で「型稽古の会」主催者の江坂祐輔さんに、カウンセラーの高石宏輔さんとともに釣りに連れて行ってもらうことになった。場所は太平洋に面した茨城県の大洗。ゴールデンウィークに水族館目的で大洗へ行ったとき(シラウオが特に印象に残った)は、悪天候もあって海の生き物の採集は一切できなかったから、今回こそはと意気込んでいた。港の岸壁沿いで小型の根魚やギンポなんかと戯れるのをイメージトレーニングして当日に臨んだ。

港近くの釣具屋さんでハゼやサヨリが釣れていると聞いて、教わったポイントで早速竿を下ろした。釣りが初めてだという高石さん、2投目で早くもサビハゼを釣り上げる。その後もマハぜ、ヒイラギ、カレイといった砂礫底らしい面々がポツポツと釣れるけれど、いま一つ食いが渋い。湾に青魚が回遊してきて、カモメが舞ったり水面に小魚が跳ねたりし始めたタイミングでサビキに切り替えたけれど、これも空振りだった。

釣れてないわけじゃないけど、気持ちが高揚するほど釣れるわけでもない―こういう時は他の釣り方を試してみたくなる。根掛かりで投げの仕掛けを失ったこともあって、江坂さんはワームでのルアー釣りに切り替えた。するとほどなくして「釣れたよー」の声。江坂さんの前の海面を、銀色の平たい魚がパシャパシャとしぶきを上げて引き寄せられてくるのが見えた。尾柄部に針が掛かったメッキだった。小学生のころから一度釣ってみたいと思っていた憧れの魚を前にして、一気に子どもにかえった気分ではしゃいだ声を上げてしまった。

水を張ったクーラーボックスの中でメッキは、アジ科の魚らしく壁面からの距離を取りつつ美しく姿勢を保って泳いでいる。瞬発力を内に秘めていそうな、滑らかで厚みのある筋肉のラインに惚れ惚れと見入る。
「メッキ」の由来は、ギラリと光を反射するその体表の金属的な質感。釣り人にそう呼ばれる魚には何種類かあるけれど、このメッキはギンガメアジだった。南の海で1メートル近くまで成長する大きな魚だけれど、関東地方で釣れるのは幼いうちに黒潮に流されてきたものたち。ほとんどは冬の寒さを乗り越えることができずに死んでしまうらしい。だから食べることが供養なんだとも言うけれど、海に還した。大きめの胸びれを広げて、尾びれのひと振りでグンと深みへと消えていく灰色の背中を見送った。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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