2015年01月16日
ギンブナ Carassius auratus langsdorfii
「小鮒釣りし彼の川」と子どもの頃に何度も歌いはしたけれど、実際にそんな経験は一度もなかった。それがこのお正月、齢三十一にして初めてのフナ釣りを体験した。場所はここ最近帰省の度に張り付きになっている、妻の実家脇の三面護岸の水路。覗き込むと10センチほどの小ブナが渦巻くようにして群れている。さすがに寒さのせいか動きは鈍いし、用意していった練り餌には見向きもしてくれなかったけれど、岳父が用意してくれた赤虫の魅力には抗いがたかったらしい。入れ喰いとはいかないけれど、時折気が向いたように赤虫に食いついて、ぶるぶると気持ちよく竿を震えさせてくれた。
撮影用のケースに入れてまじまじと眺めてみる。あどけない顔つきは金魚にそっくりだけれど、鉄を削ったような野趣に満ちた体色には「これぞ日本の淡水魚!」という説得力がある。均整のとれた体型も素晴らしい。海の魚で整った体型と言えばコトヒキだと思っているのだけれど、フナという存在の総合的な「スタンダード力」には足下にも及ばない。普通であること、の美しさを改めて思い知らされた。
posted by uonofu at 18:00| Comment(0)
| 魚の譜
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