2015年02月06日

マイワシ Sardinops melanostictus

Sardinops_melanostictus_150206

節分の日の会社帰り、遅い時間に妻とスーパーに立ち寄ると、魚のコーナーに大きなマイワシの丸干しのパックが5つ残っていた。マイワシの丸干しを見ると、大学の隣りにあった吉田神社の節分祭を思い出す。参道の入り口の角の一等地はイワシの屋台で、脂の焼ける煙がもうもうと立ち上って鳥居が霞んで見えるほどだった。両親はこの節分祭をすっかり気に入って、イワシや打ち出の小槌の根付を買うのを楽しみにしていた。実際、発泡スチロールの小さなトロ箱にまるまると太ったイワシが10尾ほども入って500円なのだからお買い得なのは間違いなかった。そこで母に買ってもらったイワシは、一人暮らしのワンルームマンションで焼くと魚の匂いが充満して大変なことになるので梅干し煮にした。美味しかった。大学に入りたての頃は、母が息子の一人暮らしを心配して足を運んでくれるのを「もう一人でやっていける、大丈夫なのに」と少し疎ましく感じることもあった。けれども吉田神社でイワシを買っていた3回生の頃にはもう、そうして両親や姉が大阪から来てくれて一緒に京都で時間を過ごすことを大切に、楽しみに思っていた。

閉店前のライフでそんなことを思い出しながらイワシだぁなどと声を上げていると、妻が帰って焼こうよと言ってくれたので晩ごはんは急遽一品追加になった。香ばしいたっぷりの脂と、小骨が髪の毛のように口の中をちくちく刺す感触を楽しみながら2尾たいらげた。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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