2015年06月12日

シロギス Sillago japonica

Sillago_japonica

3年前のちょうど今頃、中学時代からの友人に誘われてボート釣りに行った。それがしばらく離れていた釣りとの久しぶりの再会だった。手漕ぎボートで沖に出て、ちゃぽんと仕掛けを沈めるとキスが釣れた。その日の釣果はキスが10尾足らずでけっして大漁とは言えなかったけれど、まずは大きいのを友人と1尾ずつ、あとは小振りのものを適当に分けて持ち帰った。歩留まりの悪い下手な包丁さばきで三枚に卸して、昆布〆にして食べた。透明感がありつつもねっとりと甘くて、とてもおいしかった。

その味の良さに加え、見た目の美しさも備えたシロギスは「魚の女王」とも言われるらしい。確かに、流線形の身体はすらりと美しいし、華奢なのかと思いきや意外にしっかりとした筋肉がまるく引き締まっているというギャップも魅力的だ。さらに体表の鱗は適度に硬くざらついていて、そこがまたすっきりした清涼感を生み出すもとになっている。

けれどもこの魚が「女王」と呼ばれる最大の所以は、この目の美しさではないか。大きくてつぶらでぱっちりとしていて、正々堂々たる気品がある。イワシやサバなどもつぶらで可愛らしい目をしているけれど、守ってくれるもののない広い海洋空間で常に捕食者に気を配っているかれらの目には潜在的な不安の光が宿っているようにも感じる。シロギスとてもちろん常に捕食の危険にはさらされているだろうけれど、このまっすぐに円い目を持った魚には、白くて綺麗な砂の海底をすいすいと心地好く泳いでゆく姿が似つかわしい。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: