2015年06月26日

オイカワ Zacco platypus

Zacco_platypus_150626

日本の淡水魚の花形といえばこのオイカワだと思う。タナゴの類の、七宝焼きのように艶やかな煌めきにも息を呑まされるけれど、体の大きさや体形や泳ぎ姿の華やかさでオイカワに軍配を上げたい。

このような色の魚が日本の川にいるということに驚くと同時に、日本の伝統的な染めの、目にも鮮やかな珊瑚色や新橋色はこういったところにルーツがあったのかと納得させられもする。染め職人がオイカワに色の着想を得たかどうかはわからないけれど、文化というものはやはりその土地の自然の中に浅かれ深かれ根を張っているものなのだと、この魚は信じさせてくれる。

華やかな姿にどうしても目がいきがちだけれど、愛らしい顔つきもまたオイカワの魅力である。円い目に鼻先がちょんと尖ったシャープな顔にはきょとんとした表情があるし、婚姻色と追い星が現れて頬にボリュームが出た雄も、迫力というよりは飴を口に含んでいるような愛嬌がある。


posted by uonofu at 18:00| Comment(2) | 魚の譜
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