2015年09月11日

キチヌ Acanthopagrus latus

Acanthopagrus_latus

キチヌは「黄チヌ」で、つまり一部のひれが黄色いチヌ(クロダイ)という名前なのだけれど、クロダイのひれを黄色く塗っただけでは決してキチヌにならない。
ギラリとした金属光沢と透明感とを併せ持った大きな鱗。モヒカン刈りのように高々と主張する背びれ。それらがこのキチヌという魚の、クロダイには無い「らしさ」だ。

大阪は忠岡町の小さなヨットハーバーの突堤で、初めてキチヌに出会った。そしてそれは、わずか数時間前に同じ場所でクロダイとの初対面を果たした後のことだったから、かれら兄弟の違いはとてもよく印象に残っている。小さめの鱗が丁寧に並び、お腹の白さも背の黒さも不透明でマットな雰囲気のクロダイは、思慮深くて内省的で、読書が大好きな兄。大きな鱗と派手な背びれのキチヌは、明るくて活発でスポーツ好きの弟。

大体の形はよく似ていて、色や模様が違う、という分類上の兄弟姉妹は魚の世界にたくさんいるけれど、実際に対面してみるとそういった特徴以上に、そこから生まれる「印象」の違いが心に刻まれる。それこそが魅力の源泉であるのは、人間も魚も同じことだ。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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