2016年02月12日

メギス Labracinus cyclophthalma

Labracinus_cyclophthalma

昨夏、八重山へ旅行した。石垣に一泊して竹富へ渡るはずが、こちら目がけていっさんに駆けてくる台風のせいで連絡船が欠航し、足留めを食うことになった。波浪に備えてガリバー的に船が繋がれた港でしばらく釣りをしたけれど、さすがに風が出てきたので後ろ髪を引かれつつホテルへ戻ることにした。するとホテル前の岸壁は至って穏やかで、地元の人も小さなクワイカをぽんぽん釣り上げたりしているのだ。島を取り巻くリーフが白波を受け止めて、どうどうと砕くのが遥か沖に見える。

海をのぞくと小魚たちがひらひら舞っている。コンビニで調達した「たこわさ」を餌に糸を垂れると、先を争って群がってくるのだけれどなかなか針に掛からない。諦めて底の見えない深みに仕掛けを送ると、軽くはあっても荒々しくひったくるようなアタリでこのメギスが釣れた。ただ、関東の海では見かけない魚なものでそのときは何という魚なのか分からない。

手のひらに載るかわいいサイズだけど、ハタの仲間をそのまま小さくしたような獰猛な顔をしている。受け口からのぞく歯は鋭くて、ハタ科の小型魚であるサクラダイを思い出させた。撮影用のケースに泳がせると、洋ナシ型に尖った黒目をギョロつかせて辺りを睨めつける。その相貌に威風があって実にいい。

じきに台風がそれらしい強弱を伴ったぬるい雨粒をばら撒き始めた。いい魚に出会った高揚感を雨からかばうようにして、ホテルへと駆け戻った。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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