2016年02月19日

アイゴ Siganus fuscescens

Siganus_fuscescens

僕が「釣友」と呼ばせてもらっても差し支えないであろう数少ない方々のひとり、音楽家の高岡さんが、昨年の秋に伊東でお連れの方と一緒に大きなアイゴを釣られていた。なんとサビキ釣りで。アイゴには少し思い出す景色があるのだけれど、僕は釣ったことがない。羨ましかった。

思い出す景色というのは7年ほど前の、夜の品川だ。港南口を出て、土地に馴染みのない身には意外に硬くよそよそしく感じる飲み屋街を抜けて、高くて白い工事現場の壁の横を小さく歩いて、東京海洋大学に向かった。ビッグサイトのエコプロ展で知り合った方が海洋大にお勤めで、僕の絵に使いどころがあるかもしれないと見てくださることになったのだった。鯨ギャラリーほか、建物のところどころに青黄色い蛍光灯が点いている構内を、その方の研究室目指して歩いた。

当時の僕の絵はいま思えば小学生の頃にノートに描いていた魚の絵からさほど変わるものでもなく、その方もじゃあ使いどころは、というと少し困ったのかもしれない。けれどもその方は「研究の世界でなされていることを世の中に伝えるための絵」が時には必要であることを、その世界のさまざまな事情を絡めつつとても好意的に聞かせてくださった。そして絵をまとめたファイルをめくりながら、ふと手を止めて「お、これはアイゴですね」と言った。僕は誰かに絵を見てもらうことなど初めてに等しくて、その絵がアイゴであることが伝わったことに安堵と感謝とちょっとした自信をおぼえたのだった。その後その方とは連絡を取らなくなってしまったけれど、もしこの先また出会うことがあれば、ちょっとはうまくなりましたよ、などと気障なことを言ってみたいと思っている。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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