2016年03月04日

ヌマムツ Candidia sieboldii

Candidia_sieboldii

このヌマムツにはカワムツという近縁種がいるのだけれど、その昔両者は分類上区別されずに同じカワムツとして扱われていて、「それでも何か違う」と考える人々によって「カワムツA型」「カワムツB型」と呼ばれていた。この暫定的な名づけの落ち着かなさ!おそらく図鑑か何かでそれを見た僕は、「分からない」ということにロマンを感じるのではなく、何か苦手だなあという印象をカワムツという魚に持った。根っから、研究者気質ではなかったということらしい。その後両者は晴れてヌマムツ、カワムツの2種にきれいに分類されたのだけれど、苦手意識は払拭されなかった。

それがようやく拭われたのは、カネヒラとの出会いと同じく昨年の夏。この「魚の譜」を続ける中で淡水魚というと再三出てくる、妻の実家脇の三面護岸の小川でのことだった。釣れたときにまず思ったのは「や、あのヌマムツだかカワムツだか、ややこしい魚…」ということだったけれど、ここで現物を手にしたことでようやく両者の見分けがだいたいつくようになった。そうなると、これまで苦手なものだから遠巻きに見て「体形はオイカワに似ているけれどどうも地味な魚」程度の外見的印象しか持たなかったのが、安心してまじまじと眺めることができるようになる。ケースの中で荒い息を吐くこのヌマムツによくよく目を凝らしてみると、うっすらと婚姻色の気配の浮いたオリーブ色の体色もさることながら、オイカワと比べてしっかりとした太さのある頭の形にこそ魅力を見たように思った。この逞しさとかすかなふてぶてしさが、オイカワの極彩色に負けているとはなかなかどうして言うことができない。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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