これまで魚に出会う手段といえばもっぱら堤防からの釣りだったのだけれど、石垣島に移り住んでようやくシュノーケリングをするようになった。会社勤めの終わりに餞別としてもらったシュノーケルとマスクとフィンのセットはいい具合で、おぼつかない身のこなしながらも初めて覗き見る海の様子に夢中になっている。
家から雑木林を抜けてすぐの浜は、サンゴ混じりの砂底がずっと続く遠浅で、顔を水に浸けるとアマモの草原がぐんと広がっている。小さなイシモチやスズメダイの仲間がそこここの窪みやサンゴの陰に見られて、かれらに目をこらすのに夢中になっていると、突然目の前を25センチほどの魚が泳ぎ過ぎた。マトフエフキだった。
水中で出会う初めての「大きな」魚の姿をしっかり目に焼き付けようと、すいすい泳ぐ魚体を追ってぐるりと顔を回したけれど、悲しいかな鈍臭くもがいているうちに草原の向こうへ去ってしまった。印象に残ったのは「水の色そのものだった」ということ。人の手の中で陽の光をキラリと照り返し、エラを膨らませてこちらを見る魚の姿が好きでそれを追いかけてきたけれど、これからは水中の姿にも「好き」を見出していきたいと思っている。
