2016年05月20日

ヒレグロコショウダイ Plectorhinchus lessonii

Plectorhinchus_lessonii

コショウダイが好きで、魚の絵を描き始めた頃はこの仲間をあまりよく知らないなりにネットで資料を集めてはよく描いていた。それは思い返せば新婚旅行で訪れたハワイの水族館で、チョウチョウコショウダイの滑らかで威風堂々とした泳ぎ姿が目に焼きついたからだった。この仲間は種によって模様がさまざまで、描いていて楽しかった。国内の水族館でも決して珍しくない魚たちだから、見かけるたびにかっこいいなあと貼り付いて眺めていた。

絵を描くときに自分の頭の中のその魚のイメージをどのように作り上げてゆくか、どこまで「自分のもの」として鮮明に持つかを重んずるようになって、水族館で見ただけのコショウダイの仲間は、やはり好きな魚ではあったけれどあるいはそれだけ余計に、モチーフとしては遠のいていった。この「魚の譜」は毎週更新し続けてそろそろ4年になる。その間には何を描こう/書こうかというネタ切れに苦しむ時期もあったのだけれど、それでもコショウダイたちには手を出せずにいた。

石垣島に移り住み、4月末から5月上旬にかけての数日間を竹富島で過ごした。ある日、竹富島の中でも特に流れが強くて、潮止まりのわずかな時間だけ安心して入れるアイヤル浜へシュノーケリングに連れて行ってもらった。常に速い潮に洗われている海は透明度が高くて、これまであまり見たことがなかったテーブル状のサンゴが広がり、色とりどりの魚たちがその合間を縫って泳いでいる。シュノーケルをくわえたまま、その光景に息を呑むようにして泳ぎ進んで行くと、ひさし状に張り出したサンゴの下に、このヒレグロコショウダイがゆったりと群れで佇んでいた。よく知る好きな魚に、広い海の中で実際に出会ったときの感動というのはどうにも言い表しがたい。その後も今日までに2度、海の中でヒレグロコショウダイたちに出会っているけれど、「一期一会」というどこかありふれてしまった言葉を、生まれて初めて実感を伴って嚙みしめている。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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