2016年06月24日

セナスジベラ Thalassoma hardwicke

Thalassoma_hardwicke

サンゴ礁の海で、目に飛び込んでくる色とりどりのベラの類をいちいち何という種類か見分けようとしていると、海に入るのが楽しくなくなってしまうかもしれない。それぐらいベラの仲間は多彩で、同じ種でも雌雄や成長段階や時期や個体差によって見た目がまるで異なるものも多いから、普通の知識量であれば次々現れるベラたちを石つぶてのように浴びながら「はあ…ベラがいっぱいだなあ…」と溜め息を吐くしかない。

そんな中でこのセナスジベラは、この真っ黒な縞模様(鞍状斑/くらじょうはん、というらしい)のおかげでたやすく顔と名前を一致させられるようになった。サンゴ礁の海に極彩色の魚はたくさんいるし、一方で全身が黒っぽい魚も珍しくない。けれどもかれらのように、極彩色の体に書家の墨痕のようなくっきりと鮮やかな黒をまとった魚はあまりいない。黒という色を眩しく感じるのは、初夏の陽の光が幾筋もの帯になって浅い水中に射しこむ中、サンゴの上を舞い泳ぐこの魚を目にしたときだけのような気がする。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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