2016年08月05日

“クワイカ”(アオリイカ) Sepioteuthis lessoniana

Sepioteuthis_lessoniana_160805

去年の夏、石垣港で釣りをしていると、小さなイカがインベーダーゲームのように隊列を組んで泳いでくるのが見えた。そこへ地元のおじさんがふらりとやってきて、見る間にポンポンと数ハイ釣り上げた。おじさんはそれを「クヮーイカ」と呼んでいて、そこでアオリイカには3つのタイプがあること、このクワイカは成長しても胴の長さが15センチ足らずの小さなイカであることを知った。

一年後、今度はリーフエッジの海の中でクワイカの隊列を見ることになるとは、そのときの僕にはもちろん知る由もない。明らかに魚とは異なる色形をした物体が等間隔に並んで静止しているさまはさながらUFOのようだった。イカたちはぐるぐると体色を変えつつ縦に並んだり横に並んだり、僕との距離を測りながら滑らかに泳いだ。その姿は高い知能を感じさせて、もし敵に回せばインベーダーゲームのキャラクターより手強いに違いなかった。

その数日後、防水カメラを故障させた僕はシュノーケリングを諦め、今度は釣り竿を持って同じリーフエッジに出かけた。何度目かに投げたルアーを、クワイカが足下まで追ってくるのが見えた。イカ釣りは未経験だったけど、去年のおじさんの姿が頭にあったので、いつも餌木は持ち歩いていた。仕掛けを餌木に替えて投げ込むと、1匹が即座に反応して触腕を伸ばし、呆気なく針に掛かった。水面近くでブシュッと音を立てて墨を吐いたイカが、手もなく僕の掌に収まった。墨は海藻の切れ端みたいに、噴き出された形を保ったまま波間に漂っている。

初めて手にする釣りたてのイカの美しさたるや!魚と少し違った、水そのもののような透明感に、淡くて柔らかい金属光沢が細かく散りばめられている。夜はイカ刺だ、と喜んで持ち帰り、スッパリした舌触りと甘みを楽しんだ。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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