
おしどり夫婦、という言葉があるけれど、このミスジチョウチョウウオもなかなかどうして負けてはいない。海の中でこの魚と出会うときはほとんどが「つがい」の2尾連れだ。
Oval Butterflyfish=楕円形のチョウチョウウオの英名の通り、見事に滑らかな卵型をしている。輪郭としては飛び出している尾びれも中ほどの黒いラインのおかげで納まって見えるので、どうしても全体を卵型に見せたい事情があったんだろうな、と妙に納得してしまう。頭部には3本のライン、これは和名の「ミスジ」のもとになっているのだけれど、どちらかというと体側を等間隔に走る美しいラインの方がよく目につく。
そして泳ぎ方。あまりひらひらパタパタすることなく、「たくさんラインの入った卵型」を崩さず滑るように進むので、その姿にはどうも幾何学的な印象がある。そうしてつがいの2尾でつかず離れず、そこそこのスピードでサンゴの山を越え谷を渡ってゆく姿は見る者を惹きつける。せっせと足ひれを動かしたり、息を止めて少し潜ってみたり、追いかけるこちらもいつになくアクティブになってしまう。