2016年12月30日
ホシマダラハゼ Ophiocara porocephala
石垣島で見られるハゼの仲間は本当に膨大で、釣りをしても海に潜ってもそこらじゅういろんな姿をしたハゼだらけ。それを調べようと『決定版 日本のハゼ』(瀬能宏監修、平凡社、2004年)を買ったのだけれどこれがまたドカンと分厚く、目当てのハゼに辿り着くのにひと苦労する。
そんな多彩な顔ぶれの中でも、「ハゼらしくなさ」と「石垣島らしさ」を併せ持って一際目立つのがタメトモハゼとホシマダラハゼ。特にこのホシマダラハゼは、南米のタライロンに似て古代魚の風格を備え、大きく口の裂けた風貌とドロリと渋い鱗の色はマングローブの川底に潜む肉食魚に似つかわしい。
初めてこの魚を釣って見せてくださったのは、石垣島の釣り名人のOさんだった。欄干から見下ろした流れに佇むホシマダラハゼをしとめた、華麗なルアーさばき。それを目の当たりにしたおかげで、その後ぼくもあちこちのポイントでこの魚の顔を見ることができた。がばっ、とルアーに食らいついてひとしきり暴れるのをいなし、ずしりと重い魚体を引き寄せてくると、濁った水の中から斜めにこちらを睨む大きな頭が現れる。その姿にいかにも貫禄があり、少しサイズ不足ながらこの魚こそをマングローブの「ぬし」と呼びたくなってしまう。
posted by uonofu at 18:00| Comment(0)
| 魚の譜
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