(上から)”のどぐろ”ことアカムツ Doederleinia berycoides
”きんき”ことキチジ Sebastolobus macrochir
キンメダイ Beryx splendens
アカアマダイ Branchiostegus japonicus
”アカジン”ことスジアラ Plectropomus leopardus
おいしいともてはやされる魚はたいてい赤い。”のどぐろ”に”きんき”、金目鯛。沖縄ならば”アカジン”、”アカマチ”。
なぜおいしい魚は赤いのか。素人くさい推論を二、三挙げてみることはできる。
ひとつ、魚が持っている赤の色素は主に甲殻類から摂取したものだという。であれば赤い魚ほどたくさんエビカニの類を食っているわけだからさぞうまかろう、という説。これはさすがに単純すぎて真実味があまりない。ふたつ、赤は水深が増すにつれ最初に見えなくなる色であり、それゆえ深い海の魚が保護色として往々身に纏うものである。と同時に、深い海の魚には低水温や高水圧に耐えるため身の脂が多くて旨いものが多い。それゆえおいしい魚は赤いという説。
これらの説はいずれも一片の真理を含んではいるかもしれないけれど、科学的・論理的な正しさの証明はなかなか難しいところだろう。けれどもここでもうひとつ、「赤はおいしく見える色だから」というのには反論をねじ伏せるような力がある。そうなのだ、赤はそもそもおいしい色なのだ。
ヒトに「赤はおいしい色」と教えたのは植物だろう。ピーマンやらゴーヤやら、緑のうちにバリバリ食べてしまうようになったのはヒトの味覚が発達しすぎたからで、元来の野性は「緑=まだ触っちゃダメ」「赤=さあ持っていけ、種を広めよ」と教えていたはず。真っ赤に熟れた柿やトマトには、歯を突き立てて果肉をむさぼりたい!という狂暴な欲求を掻き立てるほどの魅力がある。
だから赤い魚たちにとって、ヒトに付け狙われることはまさに異世界から降ってきた災難そのものだ。同じくしてクロダイは高貴な血筋を持ちながら、赤い肌をもつ兄のマダイのような地位に祭り上げられることは、生まれつきいかんともしがたく「ない」ものと定められている。
