2017年04月28日

エラブウミヘビ Laticauda semifasciata

Laticauda_semifasciata

石垣の海にはウミヘビが多い。サンゴ礁にも、海草の原っぱにも、港の中にもいる。一度釣りをしていて足下の岩がゴソゴソいうので、隙間を覗くとヒョッと顔を出したこともある。シュノーケリングをして出会わないことの方が珍しく、今では文字通り蛇行して滑らかに進むかれらに付き従って泳ぐことにも慣れたけれど、初めのうちはこのシマシマを見るたびにぐっと緊張した。なにせかれらはあのハブよりはるかに強い毒を持っていて、万一噛まれるようなことがあれば一大事なのだ。

けれどもその強毒と、「コブラ科に分類されるヘビである」という事実から受けるイメージに反して、このエラブウミヘビはとてもおとなしい。こちらが近くにいても気にする風もなく海草の根元や岩の隙間を次々と覗いて何か食べ物を探しているし、海底のサンゴの陰で自分のしっぽにあごをのせるようにしてのんびり休むかわいい姿を見たこともある。ときおりまっすぐにこちら目がけて泳いでくることがあって狼狽えるのだけれど、かれらは視力があまり良くなく、こちらの姿が見えていないらしい。ゆっくりとフィンをあおると、鎌首をもたげるように立ち止まって(それがイメージ通りのヘビの姿で、ちょっと可笑しい)脇へそれてゆく。視力が良くないかわりに水の流れを敏感に受け取る器官が発達しているそうだ。

このエラブウミヘビで何といっても格好いいのは尾部の形状で、魚で言えば尻びれのあたりが平たく張り出していかにも泳ぎに適した形状になっている。僕はウミヘビが息継ぎをする姿が大好きだ。海底からやにわにまっすぐ水面へ向かったと思うと、海面から一瞬顔を出してひらりと身を翻す。その瞬間の、尾部が水を叩く動作の美しさは言葉に尽くしがたいもので、また悠々と海底へ潜ってゆくかれらの後ろ姿をただ惚れ惚れと見送ってしまう。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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