2017年07月21日

テンジクダイ Jaydia lineata

Jaydia_lineata

妻の実家は皆早起きなので、僕が帰省の安心感にぐっすり眠って起きる頃には、場合によっては朝のうちにその日の夜ごはんの買い物を済ませてしまっていたりする。近所のスーパーは瀬戸内の海の幸が充実していて、早い時間だと地魚たくさんのトロ箱が並んでいるというのだけれど僕は見たことがない。

そのトロ箱の話題になったときに「イシカベリ」という名前が出た。まずもって地方名であることは分かるのだけれど、何を指しているのか分からない。あれこれ話を聞いて推測しつつ調べてみると、このテンジクダイのことなのだった。この仲間には「イシモチ」を名乗る魚が多いのだけれど、それらと同様大きな耳石を持っていることからの名付けらしい。へえ、食べたことない!と言うと、じゃあ今度出してあげようとお母さんが言った。

その帰省の次だったか、その次だったか、それとももっと後のことだったか。お母さんは忘れずにイシカベリの唐揚げを作ってくれた。生のイシカベリは小さくて頭でっかちで、いかにも身が少なく骨っぽい印象だったのだけれど、唐揚げはまるで違った。ふわりと柔らかい白身で、次から次へと箸が進む。少し印象が薄いほどあっという間に食べてしまったのだけれど、この小さな魚の頭とわたを丁寧に取り除いてゆく作業が面倒なものに違いないと気づいたのは少し後のことだった。お母さんが台所で背を丸めて下ごしらえしている、見ていないはずの後ろ姿が脳裡に残っている。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(1) | 魚の譜
この記事へのコメント
Posted by イシダイ at 2017年09月13日 01:06
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