2017年08月04日

”クワイカ” Sepioteuthis lessoniana

Sepioteuthis_lessoniana_170804

石垣島で地元の人々がする釣りは、大きくは3つに分かれるようだ。
1.食べられる魚狙いの餌釣り
2.何でも釣れればいい子どもの餌釣り
3.エギでのイカ狙い

この中でとりわけ僕が「地元感」を感じるのは3のイカ釣りだ。夕方、仕事を終えた人々が港へ乗りつけ、イカ釣りを楽しむ。標準時子午線よりうんと西に位置する石垣島では、仕事上がりといっても十分まだひと遊びするだけの陽射しが残されている。作業着姿や、時には役所からそのままやって来たようなかりゆしウェア姿のおじさんが、夕陽に照らされてエギの竿を振るのだ。港の中では、小型のアオリイカである“クワイカ”が泳ぐのをよく見かける。調子の良いときなど、軽トラでやってきたおじさんがたちまち3、4ハイを釣り上げてあっという間に引き揚げたりするのだ。クワイカは小さいぶん旨味は弱いけれど、ビールや島酒のさぞいいつまみになることだろう。

クワイカのギョロリと大きな目は、仲間うちのコミュニケーションに役立っているらしい。水中で出会うかれらの泳ぎは実に美しく統制が取れていて、あるものが方向転換すると他の個体がそれに合わせて次々にその場で転回するさまは、よく訓練された艦隊のようだ。しかしその視野は水平方向に特化して発達したもののようで、上下への目配りは苦手なようである。腰まで海に浸かって釣りをしているときに、ルアーを追いかけて足下までやってきたイカは、ルアーをエギに付け替えた僕の動きにも気がつかず、沈めたエギにたちまち抱きついてくる。くいっという心地よい重みを味わいながら竿を立てると、水中に小さな墨の塊を残してスポンとイカが揚がる。その楽しさは魚釣りとはまた少し違った独特のもので、仕事あがりに港へと引き寄せられる人の気持ちもよく分かる。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: