2019年04月06日

ヒラテンジクダイ Ostorhinchus compressus

Ostorhinchus_compressus

石垣島に移り住んで3年になろうとしている。

こちらの魚を釣り尽くした、などと言うつもりはないけれど、だいたい同じような場所選びをして、だいたい同じような釣り方をしているわけだから、次第に「予想通り」の魚しか釣れないようになってきた。そこで最近は、これまであまりやってこなかった夜の港の小物釣りに熱中している。これは経験が浅いので、まだ次の一手で何が釣れるか分からず、魚が掛かるたびに新鮮な高揚感を味わうことができる。

とりわけ楽しいのがテンジクダイの仲間と出会うことだ。南西諸島の夜の港にはたいていこの仲間がたくさんいて、いずれも愛らしくかっこよく美しい。島によって微妙に主たる顔ぶれが異なるから、新しい場所で竿を出すたびにここでは何と出会えるだろうという期待感がある。大きさに似合わず積極的な肉食性だから、餌でもルアーでも簡単に釣ることができる。4年ほど前、まだ石垣に住むなど考えもしなかった頃にこの仲間を図鑑で調べて描いたのだけれど、今見返すとそのほとんどをその後実際に手にしている。

何が釣れても嬉しいのだけれど、見るたびにいつも必ず「おっ」と思うのがこのヒラテンジクダイ。僕が使っている絵具で言えば煤竹色のイメージなのだけれど、より性格には紫檀色というのか、紫がかった深い赤みの太い帯に、宝石のように輝く群青色の虹彩。この仲間の中でも、夜の港でヘッドライトに照らされた状態での美しさで言えばトップクラスだといつも思う。

以前イラストの仕事をした、海中で熟成させるワイナリー「CRUSOE TREASURE」の創業者のボルハさんにお会いしたとき、最近はどんな釣りをしてるの?と聞かれてこの話をたどたどしくした。彼が帰国する前に何か一枚絵をプレゼントしようと思い、描いたのがこれ。夜の港での美しさに加え、この一事でも僕にとって大切な魚になった。


 
posted by uonofu at 12:18| Comment(0) | 魚の譜
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