2013年02月15日

ハナミノカサゴ Pterois volitans

Pterois volitans


ハナミノカサゴというと、今年の元旦に岳父に連れて行ってもらった岡山県玉野市の渋川マリン水族館を思い出す。瀬戸内らしく明るい黄土色の砂浜がまばらな松林を背負う、美しい海水浴場のそばにあった。元旦の海はとてものどかだった。これも瀬戸内らしく綺麗な山型をした島が水蒸気に霞んで、遥か遠くは海面の藍色に溶け込むようにしてグラデーションをなしている。

自分たち以外には、砂浜で遊ぶ幼い子ども連れの家族と、松の木にロープを張って綱渡り芸の練習をする若い男の人、それに誰かが建物の陰で風を避けながら雅楽に使うような笛を練習している、その音だけがあった。水族館の隣には、妻が小学生の頃に海の学習で泊まりに来たという渋川青年の家があった。ペンキの剥げた門の周りは浜から吹き寄せられた砂で全体に白茶けて、野菊のような小さな花がいたんだ髪の毛みたいにバサッと塊で茂っているのが目に焼きついた。
すべてが懐かしいものの色をしている。そこにいると子どもの頃の思い出すら遡って作ってもらえそうで、水族館に入る前からこの場所がすっかり気に入った。

水族館は小ぢんまりとしていて、けれどもこれまでに行った地方の水族館の多くがそうであったように一つ一つの水槽に意思と矜持が感じられて、のめり込むように見て回った。ハナミノカサゴは縦長の小さな水槽に群れて、ゆっくりと息をしていた。ここでもう長く飼われてきたのか、がっしりと大柄な体格から太い剣を何本も突き出して、水槽の環境にすっかり馴染んでいるように見える。たまに頭を振ったり大きな蝶のようなひれを翻したりして水槽内での座標を変える、その一瞬一瞬の形がかっこよくて、iPhoneで何枚も写真を撮った。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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