2013年03月22日

ヨロイメバル Sebastes hubbsi

Sebastes hubbsi


ヨロイメバルに出会ったのは、もう18年ほども前の一度きりで、その場所は兵庫県の垂水(たるみ)港だった。
毎週末の父との釣りは、南港や泉大津といった大阪湾の釣り場が主だったから、釣りだけのためにわざわざ高速代と時間と労力を奮発して垂水にまで足を伸ばすというのは、最早立派な小旅行だった。

その甲斐あって、垂水港での一日はいまだに「一番楽しかった釣り」の一つとしてくっきりと憶えている。垂水港はあちこちが工事中だった。真新しいコンクリートの白、建設予定地の剥き出しの地面の赤土色、メジナやカワハギの子がひらひらと泳ぎ回るのが見える澄んだ海のエメラルドグリーン、水平線のコバルトブルー。きっとかなり美化された記憶の中の垂水港は、地中海の風景みたいに眩しい。

ヨロイメバルは、岸壁ギリギリに落とし込んでいた短竿の胴突き仕掛けにかかった。カサゴによく似ているけれど、鱗の一枚一枚が大きいせいでもっとガサガサ、ゴツゴツして見えてかっこいい。宝物のようにいつも眺めていた『新さかな大図鑑』でヨロイメバルと知った。鎧という名付けは本当に似つかわしい。
普通、釣り上げられた魚はショックで数日間は何も食べないものなのに、ヨロイメバルはその日の夜、水槽に身を落ち着けるやいなや餌のエビを一飲みにした。そのふてぶてしさも、とても気に入った。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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