2013年03月29日

オニカジカ Enophrys diceraus

Enophrys  diceraus


カジカの仲間は総じて頭が少し大きすぎる。

顔はカサゴによく似ていて、彼らが「カサゴ目」に属していることに納得がゆく。けれども、頭の比率は頭でっかちのカサゴよりもさらに大きくて、その分身体はぐっと細身に見える。岩の上や海藻の間で身体を支えるための胸びれも、百人一首の絵で武官が頭の両側につけている扇形の飾り(おいかけ、というらしい)みたいに円く大きいから、デフォルメされたような極端なバランスをしている。

けれども、彼らの姿は見ていてしっくりと心地が好い。こういうバランスの魚は、水槽の中でただじっと息をしているだけでも眺めていて飽きないもの。心地好いとまで言わないにしても、カジカの類の姿を不安定だとか座りが悪いというように見る人は少ないのではないか。これはこれで、とても調和のとれた姿なのだ。

人間のするデザインには「良し悪し」があって、「良くないデザイン」には一見して「こうあるべきじゃない」とわかる違和感や不快がある。でも魚の姿にはいいも悪いもない。マンボウのような珍奇を極めた魚ですら、その形には「これぞ、あるべき姿なのだ」という説得力がある。
自然の造形にはそれほどまでの力が備わっているのか、あるいは自然の造形には間違いがないという思い込みがあるのか。いずれにせよ、限りなく多様な魚の全てにおいてデザインのミスが一度もないとすれば、自然という神様はなんと完璧なデザイナーであることか。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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