オシャレハナダイ Plectranthias pelicieri(左上)と、Plectranthias属のなかまたち
ハタというと大きくてふてぶてしい肉食魚のイメージだから、Plectranthias属の華麗なハナダイたちを見せられて「これもハタの仲間である」と言われてもにわかにはピンと来ない。しかし、よく見てみると彼らはなるほど、なかなか獰猛な顔つきをしている。大きな口と鋭い目は、確かに彼らがハタの血縁筋であることをよく示している。
魚を飼う楽しみの一つが、手元の小さな水槽の中に広大な自然のミニチュアを手に入れることなのだとしたら、小さくて美しい体に本来は飼えるはずもない大きなハタの風貌を備えたハナダイたちは、まさに夢のような存在だ。なかでもオシャレハナダイの美しさは際立っているし、顔つきの「いかつさ」も他のハナダイたちより勝っているように見える。いったいいくらで手に入るのだろうと何とはなしに調べてみると、30万円だった。想像していたのと桁が違った。
30万円で手に入れたオシャレハナダイもいつかは死ぬ。飼い主にしてみればどれほどのショックだろうかと想像してみたけれど、立ち止まって考えればその30万円は命の値段なのではない。ペットショップの生き物の値段は彼らが商品として店頭に並べられ、飼い主に引き渡されるまでのものであって(そういう取り引きの是非は兎も角として、だ)、飼い主の手元にやってきた命の尊さは、30万円のオシャレハナダイだろうが90円のネオンテトラだろうがまったく同じだ。そんな当然のことすら、今さらの発見のようにしか思い至れない。自分自身の生き物の飼い方には、後ろめたいところが山ほどある。
