2013年05月24日

カエルアンコウとそのなかまたち genus Antennarius

genus Antennarius

カエルアンコウの仲間は見た目も仕草もえらく可愛くて、思わず表情が緩んでしまう。ゴロンと丸い体に、少し開いたままの大きな"へ"の字型の口と円らな目。その名の通り、ヒキガエルみたいなどん臭い歩き方で海底をよたよた移動する。(英名もfrog fishだ。)
魚がひれを使って海底を歩くように移動すること自体は珍しくないけど、カエルアンコウの場合は歩くことに身体が特化したために
●胸びれに「ひじ」的な部位がある。
●胸びれだけでなく、腹びれまで歩くための脚みたいになってる。
のがスゴい。そんな脚(ひれ)を動かすたびに、皮膚がぶよっとした質感で伸び縮みするのも、とても両生類っぽい。

でも古くからこの魚のことをよく知っている人には、なかなかしっくりこない名前らしい。2007年にカエルアンコウと改名されるより前は、イザリウオと名乗っていた。そういえば子どものころに図鑑でその名前を見た記憶がある。足を動かさずに身体を地につけたまま移動する「いざる」という言葉が、現代では差別的なニュアンスのある表現だとして改められたとのこと。

ただ、イザリウオの由来には別の説もある。アンコウの仲間らしく、彼らも頭に擬似餌のついた釣り竿を持っていて、それで餌の小魚をおびきよせる。その姿をもって「漁り魚」と呼んだらしい。なんとも趣のある名前だけれど、実際に彼らが擬似餌を動かす姿を目の当たりにすると、少しギョッとする。擬似餌はあまりにもゴカイのようで生々しいし(種類や個体によって形は違うみたい)、その動かし方には小魚をおびき寄せようという明確な意図が感じられて、「悪魔の手招き」のように見える。可愛らしく見えるけど、やっぱり彼らも過酷な海の環境を生き抜いてきた、したたかで逞しい命の結晶なのだ。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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