2013年08月09日

ハイギョ Lungfish

Protopterus aethiopicus
アフリカハイギョの一種、プロトプテルス・エチオピクス Protopterus aethiopicus

4億年ほど前、一部の魚たちが両生類へと進化し始めたらしい。恐竜たちの時代よりももっと遠い遥か昔のことだ。

「魚類の一部が両生類に進化した。」というのは、今現在の私たちから見た一つの結果であって、当時の魚たちに「いつかはカエルになるんだ」などという進化の意志があったわけでは当然ない。彼らはどこが自分たちの目的地であるかを知らずに進化の道を歩んだ。おそらく数かぎりない魚たちが進化の袋小路に迷い込んで死に絶えていったはずで、幸運な、あるいは強力な一握りの者だけが両生類へと姿を変えることに成功した。

ハイギョは、そうして魚が両生類へと進化してゆく、その途中の姿のままで4億年を生き延びてきた魚だ。彼らは分類上は間違いなく魚類なのだけれど、こと呼吸器に関して言えば既に両生類の特徴を備えている−すなわち、幼生期には体の外側に飛び出したエラを持ち、成長するに従ってエラよりも肺が発達してくる。
顔つきも、どちらかというと魚類より両生類に近い。

魚類と両生類の進化の道筋を系統樹に描いてみると、彼らハイギョの存在の特異さはあのシーラカンスに勝るとも劣らない。シーラカンスもハイギョと同じように魚類から両生類へと進化する途中で己の道を究めた魚だけれど、ハイギョの方がより両生類に近いところでそれを行っている。
シーラカンスが発見された1938年当時、学会のみならず世界中が騒然とした、らしい。ハイギョについてはオーストラリアに棲息している1種を除いてあまり発見時のエピソードは語られないけど、彼らだってもし見つかったのが最近だったなら、きっと学者たちの度肝を抜いたはずだ。

ハイギョの4億年に思いを馳せるなら、東京タワー水族館がいい。年季の入った大型淡水魚たちの中でも、まだら模様の大きなアフリカハイギョ(プロトプテルス・エチオピクス)は、どろりとした静かな迫力で異彩を放っている。これまでハイギョという魚に全く興味がなかったのに、彼の前に立った途端に目が釘付けになった。その15分ほどの間に彼はよく動き、水面から口を出して肺呼吸する様を見せてくれた。空気を吸い込んでゴクゴクと動く喉の皮膚は、ゴジラの敵役の怪獣の着ぐるみみたいだった。










 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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