2013年11月22日

ニシン Clupea pallasii

Clupea pallasii

先週末、築地で子持ちニシンの干物を買った。丸々と見事に肥えて、えらが剥ぎ取られてぽっかり空いた穴から黄色く数の子がはみ出している。場外市場をぐるぐると回って、そのニシンの前を通るたびに「これ!これが本当にうまいねん」と妻に力説していたら、じゃあ買おうよ、と妻が言った。一尾400円。うまいと力説しておきながら、なぜか「買う」という選択肢は頭に無かったので、思いがけず手に入れたことが嬉しくて、ビニール袋の外からずっしりと重くて太い魚体を何度も触って確かめた。

翌日の晩ごはんに妻が焼いてくれた。憶えていた通りの、濃い脂の香り。ホッケの開きによく似ている。肉の厚みや、ポロリとした身離れの良さもそっくりだ。ニシンの方が多少身が柔らかいかもしれない。
同じく冷たい北の海からやって来た魚どうし、種の分類上は遠く離れていても似たような味になるというのは面白い。そう思いつつ調べてみると、1950年代の半ば以降にニシンの漁獲量が激減した後、代替品としてホッケの需要が伸びたらしい。今ではホッケの方が居酒屋でもスーパーでもよく見かけるメジャーな存在だけれど、元はニシンが主役だったのだ。

ニシンと言えば子持ちの干物の他にもう一つ、身欠きニシンの甘露煮の味が思い出深い。京都で大学生をしていた頃、近所の小さなスーパー「DAILY」(ヤマザキとは関係ない)にニシンの甘露煮が売ってあった。15センチぐらいの半身が三枚入って420円だから、結構ないい値段だ。これを冷たいそばと一緒に食べる。そばを大根の薄い短冊と一緒に湯がいて冷たく締めて、ピシリと水を切って平たい器に盛る。淡口のだし醤油をまわしかけて、アボカドを切ったのとニシンを一切れ。贅沢かなあと思いつつ、これが美味しくてやめられなかった。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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