2013年12月20日

レインボーフィッシュの仲間 genus Melanotaenia

genus Melanotaenia

すみだ水族館入ってすぐのところに淡水の熱帯魚の大きな水槽がいくつかあって、その一つにこのMelanotaenia属のレインボーフィッシュの仲間が泳いでいる。全長10cm程度、肩側と腹側にそれぞれ円く張り出した体躯は一般的な家庭用水槽には少し大きいので、熱帯魚店でもなかなか主役級の地位は与えられない。けれども、その堂々とした姿は大水景によく映える。水族館の大きさには及ぶべくもないけれど、新宿の地下街や恵比寿の駅ビルに設置された大きめの水槽に彼らが選ばれているのには、なるほどと納得がゆく。

「平たい体をした淡水魚」という点では、日本産淡水魚として馴染み深いタナゴに似ているようにも思える。けれども、実際に泳ぐ姿を見てみるとまるで違う。雰囲気が「異国人」なのだ。背中の盛り上がりとか吻の尖り方とか、ひれの付け根の幅広さとか、そういった細部の違いは勿論挙げられるだろうけど、それらに目を凝らすまでもなくぱっと見で「違う」と感じる。ちょうど、車好きだった90年代の前半にマツダ車に抱いていた印象に似ている。その頃のマツダは、たとえ車種が分からなくても全体像をみただけで何となくマツダだと想像がつくほどの独特の雰囲気を持っていた。色でいえばボルドーやビリジアンのような、もともと日本にはなかったタイプの渋さ。それはフォードと提携したことによる、まさに異国っぽさだった。父のトヨタ車のどっしりとした安定感が大好きだったけど、マツダのその雰囲気にも好き嫌いを超えていつも目を奪われていた。

レインボーフィッシュが「異国人」なのにも理由がある。彼らは特異な生物相を持つオセアニアやマダガスカルの出身で、私たちが見慣れているコイやナマズや○○テトラのような魚とは2億年近く昔の大陸移動で袂を分かち、それ以降交わっていない。オーストラリアの有袋類やマダガスカルのキツネザル(まさにマダガスカルにしかいない)が他の地域の動物たちとは一風異なっているように、レインボーフィッシュの仲間も私たちにとっては2億年前からの筋金入りの異国人なのだ。

理科の教科書には、その2億年前よりももっと昔からの大陸移動の歴史が、数コマの世界地図で分かりやすく描かれている。その数コマは「今」の世界地図で終わっているから、知らず知らずのうちに今の世界が完成図であるかのように錯覚してしまう。けれども当然ながら今の世界が過去の1コマになる未来は確実にやってくる。大陸が再びどこかでつながり、切り離されて、レインボーフィッシュたちも他の魚を駆逐し、あるいは駆逐され、またあるいは交わりながら絶え間なく姿を変えてゆく。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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