2014年01月24日

ウマヅラハギ Thamnaconus modestus

genus Thamnaconus
ウマヅラハギ Thamnaconus modestus(上) と同属2種

ウマヅラハギについて調べていて、三重での地方名が「ウマヌスト」であると知る。まず間違いなく「馬盗人」なのだと思うのだが、由来が分からない。ネット上からはついにその答えを得ることができなかった。

仕方無いのでその謂れを想像してみる。ものの名前、特に地方名のように人々の日々の生活の中から生まれてきたものには、必ず意味があるはず。

1.まず「盗人」と言えば可能性はふたつ、穀類の害虫コクヌストのように本当に悪者として嫌われているか、あるいは旨すぎて酒が盗まれたが如く進んでしまう酒盗のように、(プラス)すぎて(マイナス)してしまう、という褒め言葉か。でも後者では辻褄が合わないし、前者は理由が分からない。

2.確か古典に「馬盗人」という話があったと思って調べてみたけど、これも関係なさそう。武家の父子が、多くを語らぬ日本的な信頼関係によって馬盗人を退治するというものだった。

3.行き詰まったので、では昔の人々にとって馬とは何だったのかを考えてみると、それは取りも直さず貴重な労働力であり家の財産だった。漁師にとってもそうであったはず。例えば山を越えて街へ魚を売りに出る男が山姥に襲われる昔ばなしは各地に伝わっているけど、その男が魚を積んでいるのは馬か牛だ。1に照らして考えてみると、その貴重な財産を損ねるものとして嫌われる理由がウマヅラハギにはあったはず。

4.確かに彼らは、最近になってカワハギの代用品として重用されるようになるまでは、漁業的な価値に乏しいものとして軽視されてきたらしい。それどころか、頭部の棘が引っかかって網を傷めるので嫌われてもいたのだと。岡山での地方名「ツノギ」からも、この魚を語るにおいて頭の棘(ツノ)が重要な要素であったことが窺える。

…これだ!

きっと漁師はこの魚が大量に網にかかると、頭の棘で網をダメにされてしまったのではないか。そうなると当然漁はできないから儲けが無くなるし、新たに網を作るのには時間やお金がかかる。その結果、財産である馬を手放さねばならなくなる…

民話的に美しく調和のとれたストーリーだと思うのだが、真相は果たして。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(4) | 魚の譜
この記事へのコメント
しかしあの角はなんの為にあるのでしょうね。アンテナの役目でもないでしょうし。
じっくりみれば不思議な形態の生き物って多いですね。ていうか人間基準で見てる
だけでですもんね。
Posted by aloha at 2014年01月27日 11:11
こんばんは!
この表現が学術的に正しいのか分かりませんが、「進化の不思議」ですね。生き物たちが今の姿に至った来し方や行く末を思うとワクワクします。それが奇抜なものでなくとも。
Posted by uonofu at 2014年01月30日 22:42
カワハギ類は釣り餌を盗むのが上手いからではないですかね。
カワハギの事を「盗人」と言ったのではないでしょうか。
で、馬面のカワハギだから「馬盗人」。
Posted by チュート at 2015年01月27日 21:33
あ、なるほど!
ストレートに釣り人目線、ということも十分あり得ますね。
Posted by uonofu at 2015年01月31日 13:10
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