2014年02月21日

共生ハゼ Shrimp Gobies

Shrimp Gobies
(上)ズグロダテハゼ Amblyeleotris melanocephala
(中)ニチリンダテハゼ Amblyeleotris randalli
(下)ヤマブキハゼ Amblyeleotris guttata


エビと一緒に暮らすハゼがいる。

エビはブルドーザーのように砂を押し運んで、海底にせっせと巣穴を掘る。ハゼは目がよくないエビの代わりに巣穴の外で見張りに立ち、危険が近づくとエビに知らせて一緒に巣穴に逃げ込む。

彼らはそうやって広い海の底で身を寄せ合って生きている。その姿はあらゆる生き物の共生関係の中でも心温まる「助け合い」として最も完成されており、美しい。アクアリストにも人気がある。海水魚を扱っているショップへ行けば、さまざまな種類の共生ハゼと、砂を押し運ぶ大きなツメを持ったテッポウエビの仲間を見ることができる。

しかし忘れてはならない。実際は、彼らに「助け合い」の精神など微塵もないはずだ。ハゼは自らの安全のために頃合いのエビの巣穴を利用し、エビもまた自らが危険を避けるために同居人を利用している。テッポウエビは普段から常にハゼの身体に触角を触れさせており、危険を察知したハゼの瞬間的な身の震えを読み取っていち早く巣穴に飛び込んでいるだけであって、決してハゼから居候のお礼に危険を知らせてもらっているわけではない。
ここにあるのは心温まるストーリーではなく、一部のハゼとエビがこうすることによって高い確率で生き延びてきたという無表情な事実だ。

「無表情」―まったく、自然というものはとことんそうなのだ。この小さなハゼとエビに健気だといって味方するわけでもなく、また例えば他の生き物を死ぬまでしゃぶり尽くすような悪魔的な寄生虫に罰を与えるわけでもない。ただ淡々と、生き延びるものと滅びるものとを区分けしてゆく。人間とて、その冷たいまなざしから逃れることは絶対にできない。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(2) | 魚の譜
この記事へのコメント
人間は生物の生態を理解しようとした時、つい対象の生物を擬人化してその生態を考えてしまいますよね。
ベタでも産卵が終わり2日ほどで孵化しますが、孵化してしばらくまで特にオスは泡巣から
落ちていく卵を拾って泡に戻す。孵化した稚魚を泡に戻すとほんとうに甲斐甲斐しく世話をします。

そこだけを擬人化して見るとベタって子煩悩でなんてやさしい魚なのだと思ってしまいがちですが、
そこで親と稚魚を隔離せずにさらに飼い続けるといつのまにか子供たちは綺麗に姿を消してしまいます。そう親が食べてしまうのですね。なんの遠慮もなくパクパクと。

まさに-「無表情」―まったく、自然というものはとことんそうなのだ。-って事です。

ただ一度面白い光景がみられました。それは他のペアが生んだ卵が網の仕切りを越えオスのみがいる隣
のエリアに流れていったとき、なにを思ったのかそのオスが泡巣を作り流れてきた卵をせっせと泡巣に
戻してました。

逆に考えるとこれも他人の子の世話をしてなかなかいい奴というわけではなく、他人の子(卵)でも見つけると育成スイッチが入るのかもしれませんね。とにかくベタは飽きないです。
Posted by aloha at 2014年02月24日 16:07
alohaさん、
昔、体調を崩してふわふわ浮かぶだけになっていたスカーレットジェムを、
別の個体が心配そうに見守っていたことがありました。
エビが近づくと慌てたような仕草で不安そうに寄り添ったり。

長い長い進化の道のりを経た自然のあり方は無表情ですが、個体のレベルでは
魚にもやっぱり感情があるのではないかと思ってしまいます。
Posted by uonofu at 2014年02月26日 01:36
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: