2014年03月21日

ラミーノーズテトラ Rummy-nose tetra

Rummy-nose tetra
(上)ラミーノーズテトラ Hemigrammus bleheri
(中)レッドノーズテトラ Hemigrammus rhodostomus
(下)"にせラミーノーズ" Petitella georgiae


ネオンテトラほどではないにせよ、ラミーノーズテトラも熱帯魚に興味ない人にまで広く知られた魚なんじゃないだろうか。地下街なんかに置かれた水槽で見かけることが多いように思うし、オープン以来好評をよく目にする、すみだ水族館入ってすぐの美しい大水槽でも見ることができる。

すらりとして、涼やかな透明感のあるオリーブグリーンの身体に、チョンと赤くなった鼻先が可愛らしい。ラミーってどういう意味なんだろうと今更ながら調べてみると、「酔っ払いの」という意味だった。どうもこの可憐な魚には似つかわしくないな、と思う一方で、洒落っ気の利いた名前だと言えなくもない。

ラミーノーズテトラには、とてもよく似たレッドノーズテトラという近縁種がいる。この2種は慣れれば明確に区別がつく(ラミーノーズはえらぶたの後方まで赤くなり、レッドノーズにある体のラインがない)のだけれど、おそらくこの仲間が初めて日本に紹介された頃には混同していたのだろう。1986年初版の『カラーポケットガイド 熱帯魚図鑑』(松坂実著、マリン企画)には、「レッドノーズテトラ」の名前でラミーノーズテトラの写真が掲載されている。想像するに、最初は「レッドノーズテトラ」の名前で両者区別なく流通していたのが、マニアが「どうもレッドノーズテトラには2種あるみたいだ」と気づき始め、海外の知識を仕入れてラミーノーズテトラを分離したのではないか。そういうことはよくあるし、海外の名付けとの違いを見ていてもそういった経緯が頭に浮かんでくる。ネットが無い時代のマニアたちの知識欲と熱意には本当に舌を巻く思いだ。

そしてさらに、その両者のほかにもう1種そっくりな魚がいる。日本では前2種と区別しての流通はおそらくないので呼び名がついていないけれど、海外では"False Rummy-nose"と呼ばれているのでWikipediaなどでは「にせラミーノーズ」と訳している。尾びれの黒い模様が、より先端に近い部分にしっかりと入る、という点が見分けやすいのだけれど、ネット上ではかなり混同されているので混乱する。面白いのは、こんなにも前2種にそっくりなのに別属であるということで、つまり分類上はライオンとトラよりも遠い関係であると位置づけられている。

ラミーノーズテトラは妻のお気に入りの魚なので、喜んでほしさに自宅の45cm水槽に迎え入れようかとしばしば思うのだけれど、彼らの泳ぎっぷりには水槽が窮屈すぎるといつも思い直す。アマゾンののびのびとした水景こそがよく似合う、すがすがしさのある魚なのだ。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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