2014年05月09日

シラウオ Salangichthys microdon

Salangichthys microdon

GWの連休中、渋滞に果敢に挑んでアクアワールド茨城県大洗水族館へ行ってきた。

展示中、最大のインパクトはこのシラウオ。生きているのを見るのは初めてで、造形の美しさがまず目に焼き付いた。尻びれ付近の張り出しはなんだか重たそうな形だし、身振りも決してスマートではないはずなのに、ひれを広げた泳ぎ姿がとてもバランスよく格好いい。色味のなさと歪さに研ぎ澄まされたような緊張感があって、シンと静かなのに動けば華やかさが生まれる。透明と黒という違いはあれど、ヨウジヤマモトの洋服を思い出して惚れ惚れと見た。

さらに興奮させられたのは、日本には3属4種のシラウオがいるということ。4種はともかく、3属とは!「属」の違いは、例えば哺乳類ならタヌキとキツネの違いがちょうど当てはまる。哺乳類の分類と魚類のそれとを単純に並べて論じることはできないだろうけど、属の違いとはつまりそれほどに大きいものでもありうるのだ。ここから知るべきは、日本のシラウオ3属の間にタヌキとキツネほどの違いが横たわっているということではなくて、分類という行為の本質的な恣意性の方だろう。世界は途轍もなく広大であるとともに限りなく微細で、人間がそれを理解するための分類の営みには果てがない。その道のりに胸を打たれると同時に、私たちの目の前に広がっているのはそうやって重層的にラベリングされた世界であって、それを意図的に剥がしてみることだって可能なんだということに改めて気づかされる。

家に帰ってさらに調べてみて、シラウオが今のあり方に至った進化の道のりにも面白みがあることを知った。かれらはアユやワカサギといった近縁の魚たちの稚魚に姿かたちがよく似ており、古い祖先のネオテニー(幼体の姿のまま成熟する現象)から種として分化、成立していったという説があるらしい。

シラウオを通じて、形の美しさから分類、進化の道のりまで、魚の魅力を存分に満喫できた一日だった。


 
posted by uonofu at 18:00| Comment(0) | 魚の譜
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